はじめに
インバーターや無停電電源装置(UPS)システムで冷蔵庫や冷凍庫を運転するのは、しばしば高い起動電流のために問題が発生します。冷蔵庫は通常100~150ワットのエネルギーを消費するため、多くの人が200~300ワットの定格出力を持つインバーターやUPSで十分だと考えがちです。しかし、これは必ずしも正しいとは限りません。
起動電流の問題
主な問題は、圧縮機の起動電流であり、これは通常の消費電力の最大8倍に達することがあります。さらに、冷蔵庫は圧縮機を動かし続けるためにかなりの反応電力を必要とします。つまり、冷蔵庫が動作している間は100ワットしか消費しない場合でも、起動に必要な電力はそれよりはるかに高くなります。
家庭用冷蔵庫を確実に起動させるためには、2,000 VA(約1,400ワット)の定格を持つインバーターが推奨されます。定格1,500 VA(約1,050ワット)のインバーターでも約80%の冷蔵庫を起動できますが、一部のモデルでは依然として難しい場合があります。さらに、インバーター冷蔵庫(より低価格のモデル)でも、起動時にかなりの電流が必要になることがあります。インバーター選びの詳細については、 インバーターガイド をご覧ください。
インバーターを選ぶ際には、突入電流(機器が起動する際の一時的な電力の急増)についても考慮することが重要です。突入電流についての詳細は、 インバーター選定における突入電流の考慮 をお読みください。
停電時のエネルギー使用の管理
家庭用バックアップ電源を利用している場合、エネルギーの節約は非常に重要です。たとえば、冷蔵庫が100ワットで動いていると、モバイル電話を何度も充電したり、ノートパソコンを3時間動かしたりすることができます。これが、停電に備えるための計画が重要である理由です。待機電力消費を理解することも、バックアップ電源システムを管理する際に役立ちます。待機電力消費についての詳細は、 インバーターとUPSの待機電力消費 をお読みください。
冷蔵保存用バッテリー(アイスパックとしても知られています)は、手頃で効果的な解決策です。これらのバッテリーを冷凍庫に保管することで、停電時の冷却期間を最大12時間まで延ばすことができます。計画的な停電に備えるためには、冷蔵庫の温度をあらかじめ下げておくことが有効です。食材を保存するのに十分冷たく、しかし野菜のようなアイテムが凍らない程度に保ちます。これにより、停電時には食べ物、医薬品、冷蔵保存用バッテリーができるだけ冷たい状態を保ち、冷蔵庫が最大20時間まで低温を維持できるようになります。
ソーラーシステムの解決策
自宅にソーラー発電システムが備わっている場合、状況はより簡単です。蓄電池付きのソーラーシステムは、停電中でも冷蔵庫を含む重要な家電を継続的に運転することができます。太陽が昇れば、バッテリーが再充電され、サイクルが続き、電力の途切れなく供給されます。
ソーラーシステムの設計やアップグレードを行う際には、ソーラーパネルとインバーターがどのように連携するかを考慮することが重要です。ソーラーシステムにおける正しいインバーター選びの重要性については、 ソーラーパネル接続とパラメータ をご覧ください。また、家庭用の電力を供給するために必要なソーラーパネルの適切な数がわからない場合は、 家庭用暖房に必要なソーラーパネルの数 でエネルギー需要の計算方法を実践的に学べます




